コラム2026/06/17
【コラム】同じ研修を受けたのに、なぜ成長に差が出るのか
研修効果を左右するのは「当日」だけではない
企業研修を実施した後、人事担当者の方から次のようなお話を伺うことがあります。
・同じ研修を受けたのに、成長する人とそうでない人がいる
・研修直後は意欲的だったのに、数か月後には元に戻ってしまった
・結局は本人のやる気や意識の問題なのだろうか
確かに、同じ研修を受講しても、その後の行動や成果には差が生まれます。
しかし、その差は本当に本人の能力や意欲だけで説明できるものなのでしょうか。
私たちは多くの研修に携わる中で、研修成果の定着には「研修当日以外」の要素が大きく影響していると感じています。
研修効果は「事前・当日・事後」の連続性で決まる
研修というと、どうしても当日の内容や講師の質に注目が集まりがちです。
もちろん、研修そのものの質は重要です。
一方で、実際に職場で行動変容につながるかどうかは、次のような要素にも大きく左右されます。
・研修前にどのような課題意識を持っていたか
・学んだ内容を実践する機会があったか
・上司や周囲からフィードバックを受けられたか
・振り返りの機会が設けられていたか
どれだけ良い研修であっても、「良い話を聞いて終わり」になってしまえば、時間の経過とともに学びは薄れていきます。
だからこそ、研修を単発のイベントとしてではなく、育成プロセス全体の中で捉える視点が重要になります。
成長した人に共通すること
研修後に大きく成長する人には、いくつかの共通点があります。
その一つが、
学んだ内容を職場で試す機会があること
です。
例えば、
・研修内容を上司や同僚と共有する
・事後課題として実践内容を振り返る
・数か月後にフォロー研修で成果や課題を整理する
といった機会がある人は、学びを行動へと移しやすくなります。
反対に、
・忙しくて実践する余裕がない
・研修内容が職場で話題にならない
・振り返る機会がない
という状態では、せっかくの学びも定着しにくくなります。
研修効果の差は、研修そのものよりも「研修後の環境」によって生まれているケースも少なくありません。
人事と現場の関わりが学びを定着させる
研修成果というと、受講者本人に注目しがちですが、実際には人事や上司の関わり方も大きな影響を与えています。
例えば、
「研修で何を学んだ?」
と一言声をかけるだけでも、受講者は学びを振り返ります。
また、
「まずは一つ実践してみよう」
と促すだけでも、行動へのハードルは下がります。
まずは、研修後に上司が受講者と10分程度振り返る場を設けるだけでも、学びを職場につなげるきっかけになります。
研修を受講者個人のものにするのではなく、職場全体で学びを支える仕組みをつくることが、成果の定着には欠かせません。
点ではなく、線で育成を考える
日本ODコンサルタンツでは、研修を単発のイベントではなく、
「行動変容のスタート地点」
として位置づけています。
そのため、
・事前課題による課題意識の醸成
・研修当日の学習
・事後課題による実践
・フォロー研修による振り返り
といった、一連の流れを重視しています。
実際にフォロー研修では、
「前回学んだことを現場でどこまで実践できたか」
を振り返る機会を設けています。
すると、同じ研修を受けたにもかかわらず、実践できた人とできなかった人の差が見えてきます。
そしてその差は、本人の能力や意欲だけではなく、
・上司との対話
・実践機会の有無
・職場からの期待の伝わり方
によって生まれているケースが少なくありません。
ただし、事前課題や事後課題、フォロー研修は、単に追加すればよいものではありません。
研修の目的や対象者、職場で求められる行動に合わせて、一貫した流れとして設計することが重要です。
学びを実践し、振り返り、改善する。
このサイクルを継続することで、研修の学びは点ではなく線となり、やがて組織全体へと広がっていきます。
おわりに
研修後の成長の差は、必ずしも本人のやる気だけで説明できるものではありません。
むしろ、
・どのような準備をしたか
・職場でどのように実践したか
・周囲がどのように関わったか
といった環境や仕組みの影響も非常に大きいものです。
私たちも多くの企業の研修に携わってきましたが、成果が定着している組織ほど、研修を単発のイベントとしてではなく、職場全体の育成活動の一部として位置づけています。
だからこそ、研修を「受けて終わり」にしない設計が重要になります。
学びを現場につなげるために何ができるか。
その視点から、研修のあり方を見直してみてはいかがでしょうか。
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