若手社員が相談しない、本当の理由

新入社員研修や若手社員研修の打ち合わせの中で、人事担当者の方から次のようなご相談をいただくことがあります。

「最近の若手は、本当に相談しない」

「困っているはずなのに、『大丈夫です』と言って抱え込んでしまう」

「もっと早く相談してくれれば防げたミスが起きてしまう」

こうした状況を見ると、若手社員本人の主体性や意欲に原因があるように感じるかもしれません。

そのため、研修では「報告・連絡・相談の重要性を伝えたい」というご要望をいただくことも少なくありません。

しかし、詳しく状況を伺っていくと、別の課題が見えてくることがあります。


「相談しない」のではなく、「相談の仕方が分からない」

若手社員に話を聞いてみると、次のような声が挙がります。

・どのタイミングで相談すればよいのか分からない

・こんなことで相談したら迷惑ではないかと思ってしまう

・上司や先輩が忙しそうで、声を掛けづらい

・何をどこまで整理してから相談すればよいのか分からない

・自分で考えずに聞いていると思われたくない

つまり、若手社員は必ずしも「相談したくない」のではありません。

相談したいけれど、いつ、どのように相談すればよいのか分からない

という状態にある場合があります。

一方で、上司や先輩は、

「分からなければ自分から聞いてくるだろう」

「困ったら相談するのが当然だ」

と考えていることがあります。

若手社員は相談のタイミングや方法が分からない。
上司や先輩は、困れば相談してくるはずだと考えている。

この認識のずれが、相談の遅れや抱え込みにつながっているのかもしれません。


「報連相は大切」と伝えるだけでは足りない

報告・連絡・相談の重要性を理解していても、実際の行動につながるとは限りません。

「相談は大切です」

「困ったら早めに相談しましょう」

と伝えるだけでは、若手社員にとって具体的な判断基準にならないことがあるからです。

相談する力を育てるためには、例えば次のような内容を具体的に学ぶ必要があります。

・どのようなタイミングで相談すればよいのか

・相談するとき、どのように切り出せばよいのか

・状況や自分の考えをどのように整理すればよいのか

・相手に何を確認したいのか

・相談前にどこまで自分で考える必要があるのか

さらに、ケーススタディやロールプレイングを通じて、実際の相談場面を練習することも重要です。

相談は、本人の性格や積極性だけで決まるものではありません。

仕事の進め方と同じように、学び、練習することで身につけられるスキルなのです。


相談を受ける側にもできることがある

若手社員の「相談する力」だけを育てれば、すべてが解決するわけではありません。

相談を受ける上司や先輩の関わり方も重要です。

例えば、

「何かあったら相談してください」

という声掛けだけでは、若手社員が動けないことがあります。

「何かあったら」の基準が曖昧だからです。

そこで、次のように相談するタイミングや基準を具体的に示します。

・ここまで進んだら、一度声を掛けてください

・10分考えても分からなければ、相談して大丈夫です

・方向性を決める前に、一度確認しましょう

・締切の2日前までに途中経過を共有してください

こうした基準があれば、若手社員は「この段階なら相談してよい」と判断しやすくなります。

また、相談を受けたときの反応も大切です。

「それくらい自分で考えて」

「今は忙しいから、後にして」

という反応が続けば、若手社員は次第に相談しなくなります。

すぐに答えを教える必要はありません。

まずは相談を受け止め、状況や本人の考えを確認しながら、一緒に整理する姿勢を示すことが重要です。

相談する側だけではなく、相談を受ける側の関わり方も、人材育成における重要なテーマです。


若手・OJT担当者・管理職をつなげて考える

相談に関する課題は、新入社員研修や若手社員研修だけで解決できるとは限りません。

若手社員が相談の仕方を学んでも、職場に相談を受け止める土壌がなければ、実践にはつながりにくいからです。

そのため、若手社員だけでなく、OJT担当者や管理職まで含めて育成を考える必要があります。

若手社員に必要なこと

状況や自分の考えを整理し、適切なタイミングで伝える「相談する力」。

OJT担当者に必要なこと

若手社員の状況を確認し、相談を引き出す関わり方。

管理職に必要なこと

相談しやすい職場づくりや、安心して意見や相談ができる状態をつくるマネジメント。

それぞれの立場には、それぞれ学ぶべき内容があります。

ただし、階層ごとに研修を実施するだけでは十分ではありません。

若手社員は相談の仕方を学んだものの、職場では相談を受け止めてもらえない。

OJT担当者は関わり方を学んだものの、管理職が話しかけづらい雰囲気をつくっている。

そのような状態では、せっかくの学びが職場で生かされません。

だからこそ、

「相談しやすい組織をつくる」

という共通の考え方で、各階層の育成をつなげて設計することが重要です。


研修を職場での実践につなげるために

日本ODコンサルタンツでは、研修を設計する際、「誰に何を教えるか」だけではなく、各階層の学びがどのようにつながり、職場でどのように実践されるかを重視しています。

例えば、

・若手社員研修で相談の仕方を学ぶ

・OJT担当者研修で相談を引き出す関わり方を学ぶ

・管理職研修で相談しやすい職場づくりを考える

・1on1や職場実践を通じて、実際の相談行動を振り返る

といった流れです。

一つひとつの研修を独立させるのではなく、共通の課題を軸にしてつなげることで、研修の学びが職場の行動変容につながりやすくなります。


おわりに

「最近の若手は相談しない」

そう感じたとき、若手社員本人だけに原因を求めるのではなく、

・相談する力を育てられているか

・相談のタイミングや基準を具体的に示しているか

・相談を受け止める関わり方ができているか

・相談しやすい職場環境をつくれているか

という視点で職場を見つめ直してみることが大切です。

相談に関する課題は、若手本人への研修だけでは解決しないことがあります。

若手社員、OJT担当者、管理職それぞれの役割を整理し、共通の考え方で育成を設計する。

人材育成は、一つの研修で完結するものではありません。

階層を越えて学びをつなげていくことが、相談しやすい職場づくり、そして組織全体の成長につながっていくのではないでしょうか。

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