若手社員研修2026/11/02
【事例紹介】“教えない研修”で若手の主体性とエンゲージメントを育む― 採用向けWEB記事制作を通じて自社理解を深めるプロジェクト型研修 ―
研修実施の背景
入社1〜3年目の若手社員にとって、会社の魅力や他部門の仕事のリアルを知る機会は、意外と多くありません。
若手社員の多くは、日々の業務に追われる中で、同期同士の横のつながりは保てていても、先輩・後輩との縦のつながりや、部署を越えた交流といった斜めの関係性は希薄になりがちです。
さらに、与えられた業務を着実にこなす一方で、自ら課題を見つけて考え、周囲を巻き込みながら行動する経験が十分とは言えないという声も少なくありません。
今回ご紹介する研修は、「若手の主体性を引き出し、部門を越えたつながりを強化しながら、自社理解を深める研修を実施したい」という企業様のご要望をもとに企画・実施しました。
研修のねらい
本研修では、次の3点を中心に据えました。
1.主体性・自律性を育てるとともに、自ら課題を発見し解決する力を養う
本研修では、講師が答えを与えるのではなく、受講者自身が考え、判断し、行動することを重視しました。チームで試行錯誤しながらミッションを達成する過程では、思うように進まない場面や情報不足に直面する場面もあります。そうした状況の中で、自ら課題を発見し、チームで解決策を考えながら前進する経験を通じて、主体性と自律性を育みます。
2.縦・横・斜めのつながりを強化する
年次・部門混成チームで協働し、普段関わりの少ない先輩・後輩との関係性を築くことで、帰属意識を高めます。
3.自社理解を深め、エンゲージメントを向上させる
受講者はインタビューや記事制作を通じて、会社の魅力や仕事のリアルを再発見します。
今回は、若手社員が自社の魅力や価値を改めて見つめ直し、自分たちの言葉で発信する経験そのものが、自社理解やエンゲージメント向上につながると考え、採用向けWEB記事の制作をゴールに設定しました。
プログラム概要
まずは2日間を共に過ごすチームメンバー同士で自己紹介を実施しました。
年次を超えて「よろしくお願いします」と自然に声を掛け合う姿も見られ、日頃からのオープンな企業風土もうかがえました。
チームビルディングのポイントを講師から伝えた後、今回のミッションを発表します。
成果物のイメージと締め切りを共有し、
・若手目線で会社の魅力をどう切り取るか
・どのようなストーリーなら求職者に響くか
をチームで議論しました。
今回のミッションには明確な正解がありません。
どんなテーマにするのか。どのような切り口で記事を構成するのか。求職者に何を伝えるのか。
これらを受講者自身が考える必要があります。
そのため、研修が進むにつれて各チームの特徴が見えてきます。
まずは行動してみるチーム。情報収集を重視するチーム。アイデアを優先するチーム。
同じミッションでも、進め方はさまざまです。
日常業務では見えにくい強みや行動特性が、プロジェクト活動の中では自然に表れます。
誰が周囲を巻き込めるのか。誰が情報整理を得意としているのか。誰がチームの雰囲気を良くしているのか。
人事担当者からも、
「普段の職場では見えない一面を見ることができた」
という声をいただきました。
講師はチーム活動を観察しながら、必要なタイミングでフィードバックを行いました。
“教えない研修”とはいえ、受講者を放任するわけではありません。1〜2時間ごとに5〜10分程度のフィードバックを行い、自分たちの活動の進め方やチームでの協働のあり方を振り返る機会を設けました。
活動を続ける中で、
・目的が曖昧なまま動いている
・情報共有が十分に行われていない
・メモを取らず認識がずれている
など、実際の職場でも起こり得る課題が見えてきます。
その内容を事務局と共有しながら、その時点で必要だと判断したテーマについては講師がその場で投影資料を作成し、補足を行いました。
受講者にとって「今まさに必要な学び」をその場で届けることを重視した進行です。
完成した記事を提出後、チームごとにプレゼンテーションを行います。
誰に向けた記事なのか。どのような魅力を伝えたかったのか。どんな工夫を盛り込んだのか。
チームメンバーの考えやこだわりを発表しました。
その後、人事・講師・受講者による投票と講評を実施しました。
完成した記事はいずれも完成度が高く、採用活動にも活用できる成果物となりました。
「教えない研修」が若手の主体性を引き出す
一般的な研修では、最初に知識を学び、その後で演習を行います。
もちろん知識習得という点では有効です。
しかし、「理解した」と「できる」には大きな差があります。
若手社員の育成において重要なのは、知識を増やすことだけではなく、自ら考え行動する経験を積むことです。
そのため今回の研修では、あえて最初から正解や進め方を示しませんでした。
受講者は、
「何から始めればよいか」「誰に聞けばよいか」「どの進め方が最適なのか」
を試行錯誤しながら進めます。
講師は先回りして答えを与えるのではなく、必要なタイミングを見極めながら伴走しました。
そのプロセスを通じて、自ら課題を発見し、解決する力を養うことを目指しました。
また、受講者の良い行動には個別にストローク(肯定的な働きかけ)を行うことで、自信と行動の強化にもつなげています。
ロールモデルが自然と浮かび上がる仕掛け
研修を企画した時点では、2〜3年目社員が1年目社員によい影響を与えることを想定していました。
実際にそのような場面も数多く見られました。
一方で印象的だったのは、年次の高い社員が後輩から刺激を受ける場面もあったことです。
発想力。行動力。周囲を巻き込む力。
年次の浅い社員だからこそ発揮できる力があります。
実際にチーム活動の中では、年次に関係なく互いの強みを認め合う場面が見られました。
研修後のアンケートでは、「2日間を振り返り、コメントを伝えたい相手」を記入していただきました。
そこには、
・参加者全員への感謝
・他部門の先輩への尊敬
・後輩への称賛
・事務局スタッフへの感謝
などのコメントが寄せられました。
年次に関係なく互いの強みに気づき、認め合う機会となったことがうかがえます。
今回の研修は、人材育成だけでなく、組織内に存在するロールモデルを可視化する機会にもなりました。
参加者の声
研修後には、次のような感想が寄せられました。
・先輩と協力して一つの課題に全力で取り組めたのが大きな成果でした。
・普段関わりのない先輩・後輩と交流できました。
・適宜フィードバックをしてくれて、自分に落とし込めることが多くて研修に参加して良かったと思いました。
・講義が少なく、飽きることなく参加できました。
・後輩がまた同じ研修を受けられると思うと羨ましいです。
受講者の声からも、学びとつながりが深まったことがうかがえます。
「会社を知ること」から始めるエンゲージメント向上
今回の企画におけるキーワードは「エンゲージメント」でした。
社員のエンゲージメント向上をテーマに掲げる企業は少なくありません。しかし、「エンゲージメントが高い状態」をどのように捉えるのかは企業によって異なります。
今回の設計では、一緒に働く仲間とのつながりを実感することを重視しました。
エンゲージメントは制度やメッセージだけで高まるものではなく、人とのつながりや組織との接点の中で育まれるものだと考えています。
年次や部門を越えて協力し、一つの成果物をつくり上げる。そのプロセスの中で、自分の仕事だけでなく、周囲の仕事や組織全体への理解も深まっていきます。
さらに、完成した記事が第三者の目に触れるという適度な緊張感もあり、受講者は真剣にミッションへ取り組みました。
自社の魅力を言語化し、発信する過程を通じて、
「自分たちの会社にはこんな魅力があったのか」
「こんな思いで働いている社員がいるのか」
という気づきが生まれます。
こうした気づきの積み重ねが、自社への理解や帰属意識の向上につながっていきます。
「今必要なこと」を届けるオーダーメイド型のフィードバック
本研修のフィードバックの特徴は、その内容があらかじめ固定されていないことです。
講師は、成果物そのものの出来だけでなく、チーム活動のプロセスにも着目しました。
2日目には、各チームの状況を踏まえながら、ビジネスパーソンとして強化したいポイントに焦点を当てたフィードバックを行いました。
例えば、
・報告・連絡・相談の切り出し方
・確実な情報共有のために必要なこと
・会議の進め方
・タイムマネジメント
などです。
受講者からは、
「できていることと、できていないことに気づかされた」
という声も聞かれました。
あらかじめ決められた内容を一律に教えるのではなく、その場で見えてきた課題に合わせて学びを提供する。
この柔軟な設計こそが、本研修の大きな特徴の一つです。
おわりに
若手社員には、知識だけでなく、自分で考え、動き、仲間と協働しながら成果を生み出す経験が必要です。
今回の研修は、採用向けWEB記事という実際に企業活動へ貢献する成果物をつくることで、主体性、自社理解、そして組織とのつながりを深める機会となりました。
日本ODコンサルタンツでは、若手育成研修についても企業ごとの課題や期待する役割に合わせてオーダーメイドで設計しています。
エンゲージメント向上や帰属意識醸成はもちろん、「若手に変化を促したいが、何から取り組めばよいかわからない」とお考えの場合は、ぜひ一度「教えない研修」をご検討ください。
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