事例・トピックス2026/10/23
【無料セミナー開催報告】評価制度はあるのに、なぜ部下の納得が得られないのか? ― 一次評価者が評価のズレを防ぐ3つの実践ポイント ―
評価制度を整えても、部下の納得が得られないのはなぜ?
人事評価は、社員の成果や行動を適切に評価し、今後の成長につなげるための重要な仕組みです。
多くの企業では、評価制度や評価基準を整備し、評価者研修などを通じて運用の改善に取り組んでいます。
しかし、制度を整えていても、
「部下が評価結果に納得してくれない」
「自己評価と上司の評価が大きく異なる」
「評価面談で何をどのように伝えればよいか分からない」
といった課題が生じることがあります。
こうした問題は、必ずしも評価制度そのものだけが原因とは限りません。
評価者と被評価者の認識の違いや、評価面談でのコミュニケーションにも目を向ける必要があります。
日本ODコンサルタンツでは、2026年10月13日(火)、企業の人事・研修担当者の皆様を対象に、無料オンラインセミナー「評価制度はあるのに、なぜ部下の納得が得られないのか?」を開催しました。
今回は、一次評価者が評価のズレを防ぎ、部下の納得につなげるための3つの実践ポイントを中心に、セミナーの内容をご紹介します。
セミナー概要
テーマ: 評価制度はあるのに、なぜ部下の納得が得られないのか?
サブタイトル: 一次評価者が評価のズレを防ぐ3つの実践ポイント
開催日: 2026年10月13日(火)
開催形式: オンライン(Zoom)
講師: 加藤 雅士
本セミナーでは、評価制度の仕組みそのものではなく、評価者と被評価者の認識のズレや、評価面談での対話に焦点を当てました。
特に、次の3つのポイントについて、具体的な場面を交えながら解説しました。
1.ズレをいきなり埋めようとしない
2.納得と同意を分ける
3.相手によって入口を変える
1.評価のズレをいきなり埋めようとしない
例えば、評価面談で次のようなやり取りがあったとします。
部下:「私はA評価だと思います」
上司:「いや、私の評価はBです」
このとき、上司はどのように対応するでしょうか。
評価基準を説明する、B評価と判断した理由を伝える、あるいは部下がA評価だと考えた根拠を尋ねる。
さまざまな対応が考えられますが、講師が強調したのは、評価の違いをすぐに解消しようとするのではなく、まず何がズレているのかを確認することです。
セミナーでは、評価のズレを次の4つに整理しました。
① 事実のズレ
評価者と被評価者が見ている出来事や、着目している範囲が異なる。
② 基準のズレ
A評価やB評価など、評価基準の意味や水準について認識が異なる。
③ 意味づけのズレ
同じ行動を見ていても、その行動をどのように解釈するかが異なる。
④ 期待のズレ
本人と上司の間で、求められている役割や成果について認識が異なる。
例えば、部下は「納期を守った」と考えていても、上司は「納期は守ったが、途中の報告が遅れ、他部署に負担がかかった」と捉えているかもしれません。
この場合、まず必要なのは評価基準の説明だけではなく、双方がどのような事実に着目しているのかを確認することです。
また、こうしたズレを防ぐためには、期末の評価面談だけでなく、日頃から部下の行動を観察し、具体的なフィードバックを行うことも重要です。
評価面談は、面談当日だけで完結するものではありません。
日々の行動観察と対話の積み重ねが、評価の納得感を支える土台になります。
2.「納得」と「同意」を分けて考える
評価面談では、部下に評価結果を受け入れてもらうことに意識が向きがちです。
しかし、評価結果への同意と、評価に対する納得は、必ずしも同じではありません。
例えば、部下が次のように話したとします。
「B評価なのは残念です。でも、なぜBなのかは分かりました。そして、次にA評価になるために何をすればよいかも分かりました。」
この場合、評価結果には満足していなくても、理由や今後の行動について理解できている状態といえます。
ただし、評価理由を説明するだけで、必ず納得につながるわけではありません。
セミナーでは、納得を次の3つの観点から考える「納得の3階建て」を紹介しました。
1階:結果への納得
評価結果は妥当であると感じられるか。
2階:プロセスへの納得
日頃の仕事ぶりをきちんと見てもらえていたか。自分の話を聴いてもらえたか。
3階:関わりへの納得
相手から尊重されたと感じられたか。評価理由を丁寧に説明してもらえたか。
評価結果そのものだけでなく、評価に至る過程や、上司との関わり方も納得感に影響します。
そのため、評価面談では結果を一方的に伝えるのではなく、日頃の行動や成果を振り返り、評価の根拠を共有しながら、本人の考えにも耳を傾けることが大切です。
3.評価基準は同じでも、伝え方は相手に合わせる
3つ目のポイントは、「相手によって入口を変える」ということです。
公正・公平な評価を行うためには、評価基準を一貫して適用する必要があります。
一方で、評価結果やフィードバックを伝える際に、すべての部下に同じ言い方をする必要はありません。
セミナーでは、部下の特徴に応じた伝え方の例を紹介しました。
自己評価が高い部下の場合
部下:「私はA評価だと思います」
このとき、すぐに「いや、B評価です」と否定するのではなく、
「A評価だと思ったのは、どのような行動や成果からですか?」
と、まず本人の考えを確認します。
そのうえで、評価基準と実際の行動を照らし合わせ、認識の違いを整理します。
自己評価が低い部下の場合
部下:「いや、私なんて全然です」
このとき、「そんなことないよ。自信を持って」と励ますだけでは、本人が自身の成果を十分に理解できないことがあります。
具体的な行動や成果を示しながら、
「どのような工夫が、今回の成果につながったと思いますか?」
と問いかけることで、本人が自身の強みや成長を認識できるようにします。
評価への関心が低い部下の場合
部下:「昇進したいわけではないので、普通でいいです」
こうした発言に対して、「もっとやる気を出して」と伝えても、本人の意欲につながるとは限りません。
評価や昇進への関心が低くても、専門性を高めたい、周囲の役に立ちたいなど、仕事に対する別の動機を持っている場合があります。
本人が何に価値を感じているのかを理解することが大切です。
このように、評価の基準は変えずに、相手の状態に応じて伝え方を工夫することも、一次評価者に求められる重要なスキルです。
参加者の声
セミナー後のアンケートでは、評価者と被評価者の認識のズレや、日頃のコミュニケーションの重要性について、さまざまな感想をいただきました。
特に印象に残ったこととして、次のような声が寄せられました。
「評価者と被評価者のズレの埋め方」
「評価のズレについて」
「”納得の3階建て”、今後の人事評価の説明の際に伝えていこうと思います。」
また、評価制度の理解や評価スキルの向上に加え、期初・期中・期末における評価者の関わり方、目標設定、部下の育成なども課題として挙げられました。
こうした声からも、人事評価を適切に運用するためには、評価基準に関する知識だけでなく、評価者の日頃のコミュニケーションや育成の視点が重要であることがうかがえます。
おわりに ― 評価面談を、部下の成長につなげるために
今回のセミナーでは、一次評価者に求められる力を、次の3つに整理しました。
・評価する力: 事実・根拠・基準に基づいて判断する力
・対話する力: 評価のズレを見極め、相手に適切に伝える力
・育成する力: 評価を次の行動や成長につなげる力
このうち、今回特に焦点を当てたのが「対話する力」です。
適切に評価することはもちろん重要ですが、評価結果を一方的に伝えるだけでは、部下の理解や成長につながらないことがあります。
まずは、評価者と被評価者の間にどのようなズレがあるのかを確認する。
そして、評価の根拠を共有し、本人の考えを聴きながら、今後の行動について話し合う。
評価面談のゴールは、評価結果に同意してもらうことだけではなく、部下自身が「明日から何をすればよいのか」を理解できる状態をつくることです。
人事評価を単なる結果の判定として終わらせず、部下の成長を支える機会にしていくことが重要ではないでしょうか。
日本ODコンサルタンツでは、人事考課者研修や管理職研修を通じて、評価基準の理解だけでなく、日頃の行動観察、フィードバック、評価面談での対話、部下育成につながるコミュニケーションなどを重視しています。
企業様の評価制度や現場の課題に応じて、実践的な研修をご提案しています。
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