事例・トピックス~育成の森~

テーマ別・課題別研修2026/08/19

【2026年10月1日施行】カスハラ対策は「規程を作って終わり」ではありません カスタマーハラスメント対策の義務化を前に、企業が考えたい「正しい知識」と「組織としての共通認識」

2026年10月1日から、企業に対してカスタマーハラスメント対策と、求職者等に対するセクシュアルハラスメント対策が義務化されます。

施行を前に、規程の整備や相談窓口の確認など、準備を進めている企業も多いのではないでしょうか。

もちろん、こうした制度や仕組みを整えることは重要です。

しかし、規程や相談窓口を用意すれば、現場で適切に対応できるようになるとは限りません。

今回の義務化をきっかけに、企業として改めて考えておきたいのが、

「現場の管理職や従業員が、ハラスメントについて正しく理解し、適切に判断・対応できる状態になっているか」

ということです。


すべてのクレームが「カスハラ」ではない

カスタマーハラスメントへの関心が高まることは、従業員を守るうえで大切なことです。

一方で、注意したいこともあります。

例えば、

・お客様から厳しい指摘を受けた

・強い口調で改善を求められた

・長時間の対応が必要になった

こうした場面で、

「これはカスハラではないか」

と感じることがあるかもしれません。

しかし、お客様からの苦情や要求が、すべてカスタマーハラスメントに当たるわけではありません。

正当なクレームと、社会通念上許容される範囲を超えた言動を適切に見極める必要があります。

だからこそ重要なのは、

「ハラスメントへの感度を高めること」と「何がハラスメントに当たるのかを正しく理解すること」

の両方です。


「現場で判断してください」だけでは難しい

制度や方針を整えたとしても、実際に顧客と接する従業員は、さまざまな場面で判断を求められます。

例えば、

「これは正当なクレームなのか、カスハラなのか」

「どこまで自分で対応して、どこから上司へ相談すればよいのか」

「お客様の要求を断ってもよいのか」

と迷うこともあるでしょう。

そして、管理職にも、

「部下から相談を受けたら、まず何を確認すればよいのか」

「どの段階で組織として対応すべきなのか」

といった判断が求められます。

求職者等に対するセクシュアルハラスメントについても同様です。

採用担当者だけでなく、面接官やインターンシップなどで求職者と接する社員が、

「どのような言動に注意する必要があるのか」

を理解していなければ、会社として方針を定めても、現場での適切な行動にはつながりません。

規程や相談窓口を整えるだけでなく、現場の一人ひとりが適切に判断できる状態をつくることが重要になります。


ハラスメントへの「感度」だけを高めればよいのか

近年は、「〇〇ハラ」という言葉を耳にする機会も増えました。

ハラスメントに対する意識が高まること自体は、とても大切なことです。

一方、研修の中では、

「これもハラスメントになるのではないか」

「部下への指導が怖くなった」

「どこまで言ってよいのか分からない」

といった声を耳にすることもあります。

何でも「ハラスメントかもしれない」と考えてしまえば、本来必要な指導やコミュニケーションまで萎縮してしまいます。

反対に、

「これくらい普通だろう」

「昔はこれくらい言われていた」

という個人の経験や感覚だけで判断してしまえば、問題を見過ごしてしまう可能性があります。

必要なのは、どちらかに偏ることではありません。

ハラスメントを見逃さず、必要以上に恐れないための正しい知識と共通認識を持つこと。

それが、これからのハラスメント対策では、より重要になってくるのではないでしょうか。


「知っている」を「対応できる」に変える

では、企業として何をしていけばよいのでしょうか。

ハラスメント対策では、例えば、

・何がハラスメントに当たるのか

・何が適切な指導や正当な要求なのか

・問題が起きたときに誰へ相談するのか

・相談を受けた管理職はどのように対応するのか

といった基本的な考え方を、組織の中で共有しておくことが大切です。

さらに、

「このケースはどう判断するか」

「自分が相談を受けたら、まず何をするか」

「自分たちの職場では、どこに相談するのか」

といった具体的な場面について考えることで、知識を実際の行動へとつなげていくことができます。

日本ODコンサルタンツのハラスメント研修でも、知識を一方的にお伝えするだけではなく、ケーススタディや対話を通じて、参加者自身が考えることを大切にしています。

規程を作る。

相談窓口を設ける。

研修を実施する。

それぞれを別々の取り組みにするのではなく、

現場で適切に判断し、行動できるところまでつなげていくこと。

そこまで考えて初めて、制度が実際の職場で機能するのではないでしょうか。


おわりに

2026年10月1日の義務化は、企業にとってハラスメント対策を改めて見直す一つのきっかけになります。

「規程はある」

「相談窓口も設置している」

そのうえで、もう一つ確認してみてはいかがでしょうか。

現場の管理職や従業員が、正しい知識を持ち、自分たちで判断・対応できる状態になっているでしょうか。

ハラスメント対策は、単に「してはいけないこと」を増やすためのものではありません。

ハラスメントを正しく理解し、必要な指導やコミュニケーションまで萎縮させることなく、一人ひとりが安心して働ける職場をつくること。

10月の施行を前に、自社のハラスメント対策が「制度を整えるところ」で止まっていないか、改めて振り返ってみることが大切です。


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