コラム2026/08/07
【コラム】心理的安全性を誤解していませんか? 「何でも言っていい」「何でも許される」ではない、本来の目的とは
研修実施の背景
近年、「心理的安全性」という言葉を耳にする機会が増えました。
人的資本経営やエンゲージメント向上への関心が高まる中で、管理職研修やコミュニケーション研修でも、
「心理的安全性を高めたい」
というご相談をいただくことが少なくありません。
一方で、研修の中で参加者の皆さまと対話していると、
「心理的安全性とは、何でも自由に発言できることですよね。」
「厳しいことを言うと、心理的安全性がなくなってしまうのではないですか。」
といった声が聞かれることがあります。
心理的安全性という言葉は広く知られるようになりましたが、その意味が少しずつ誤解されている場面も少なくありません。
そこで今回は、管理職研修やハラスメント防止研修でもお伝えしている「心理的安全性の本来の目的」についてご紹介します。
心理的安全性の目的は「仲良しの職場」をつくることではない
心理的安全性という言葉は、
「誰も傷つかない職場」
「何でも許される職場」
という意味で受け取られることがあります。
しかし、本来の目的はそこではありません。
心理的安全性とは、一人ひとりが安心して意見を伝えたり、疑問を口にしたり、失敗を共有したりできる状態のことです。
そして、その先にある目的は、
チームとしてより良い成果を生み出すこと
です。
だからこそ、心理的安全性が高い組織でも、
改善点を伝えることがあります。
異なる意見を率直に伝え合うこともあります。
重要なのは、相手を否定することではなく、
より良い成果のために必要な対話ができること
なのです。
「何でも言っていい」ということでもない
一方で、
「心理的安全性があるなら、思ったことは何でも言っていい」
という考え方も、本来の意味とは少し異なります。
例えば、
・感情のままに意見をぶつける
・相手を傷つけるような言い方をする
・相手の話を聞かず、自分の考えだけを押し通す
これでは、安心して話せる職場ではなく、
言いたいことを言うだけの職場になってしまいます。
心理的安全性は、
お互いを尊重すること
が前提です。
意見が違っても人格を否定しない。
行動や事実について話す。
相手の考えにも耳を傾ける。
そうした姿勢があって初めて、率直な対話が生まれます。
「安心」と「甘さ」は違う
研修でもよくお伝えしているのが、
安心して挑戦できることと、甘やかすことは違う
ということです。
心理的安全性が高い組織では、
失敗した人を必要以上に責めることはありません。
しかし、
失敗をそのまま放置するわけでもありません。
必要なフィードバックは行います。
改善点も率直に伝えます。
そして、
「次はどうすればもっと良くなるか」
を一緒に考えます。
だからこそ、人も組織も成長できるのです。
研修では「安心して伝え合える職場づくり」を考える
日本ODコンサルタンツでは、ハラスメント防止研修や管理職研修において、
「何を言ってはいけないか」
という知識だけではなく、
安心して必要なことを伝え合える職場づくり
を大切なテーマの一つとして扱っています。
例えば研修では、
・心理的安全性とは何か
・指導とハラスメントの違い
・フィードバックの伝え方
・相手を尊重したコミュニケーション
・安心して意見を言える関係性づくり
などについて、ケーススタディやグループワークを通して考えていただいています。
心理的安全性は、一方的に「優しく接すること」で高まるものではありません。
必要なことを率直に伝えながらも、お互いを尊重し合える関係性を築くこと。
その積み重ねが、成果を生み出す組織づくりにつながっていきます。
おわりに
心理的安全性とは、
「何でも言っていい」
「何でも許される」
というものではありません。
一人ひとりが安心して意見を交わし、
必要なフィードバックを伝え合い、
チームとして成果を生み出すための土台
です。
だからこそ今一度、
「何のために心理的安全性を高めるのか」
という目的に立ち返ることが、より良い組織づくりにつながるのではないでしょうか。
コラム
2026/08/07コラム




